· 

デザイン性と実用性

皆さん、『巾木(幅木)』というものをご存知ですか?

 

ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、壁の下部の床と接する部分にあるものです。

これって、一体なんでしょう?

最近は色々な形式のものがありますので説明が難しいところもありますが、1つの役割は壁の材料(ボード材)を乗っけてレベルをとる定規みたいなものです。左官壁などの場合は床との見切りとしての役割もあります。ビニルクロスなどの壁紙の切れ端を飲み込ませるということもあります。今は施工精度が上がってきたこともあり、壁に直接打ち付けたり張り付けたりすることもあり、据え付け方は色々です。

最近の住宅で、巾木をが無いものをみかけます。

巾木の出っ張りを無くし、または建材の種類を減らしてよりシンプルに見せるため、はたまたコストカットのためなどの理由から使われなくなっているのでしょう。

現在、壁のボード材の主流は石膏ボードです。耐久性もあり火にも強いという優れもので、世界で使われています。

でも、欠け・割れには弱いところがあります。


 

住宅の場合、お掃除は掃除機でしますよね。イマドキはロボット掃除機という方もいらっしゃるかもしれませんが。その際、掃除機の先を壁にガンガンぶつけていませんか!?ソフトタッチにお掃除される方にはすいません。でも、普通の使い方では壁の下部、丁度巾木がある部分に当たっています、その先端が!

その辺りは、ボード材の弱いところです。欠け・割れの危険があります。また、壁紙や塗装、珪藻土など左官材が擦れて汚れや欠損の恐れがあります。

もしその部分がダメになったらどうしましょう。ボード材を取り換えるとなると厄介ですし、表面の壁紙・塗装・左官をやり直すとその他の部分の経年による汚れ・色褪せ(ご本人は気づかれない程度ですが)との差が出てうまく馴染まないかもしれません。

もしも巾木を使っていれば、壁紙などの表層材や下地のボード材を直接傷めることはありません。

巾木が傷んだら?巾木は取り換えればいいのです。ちょうど自動車のバンパーと思ってください。要するに、上記した役割のほかに壁材の緩衝材の役割もあるということですね。


巾木がいるかいらないか、設計段階で家を建てられる方はそれほど関心が無いかもしれませんし、気づかないことかもしれません。

デザイン性ももちろん大切ですが、後で住んでみたら不便とならないよう実用性の面もしっかりとした検討が必要だと思います。